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『ダシ』って何?だしの定義と始まりについて!


だしの定義ってなんだろう?

『ダシ』といえば日本人にはとても馴染み深く、とても身近なものなのではないでしょうか?
お味噌汁、おでん、うどん、そば、茶碗蒸し、鍋もの…美味しいものには全てだしが入っています!
気づかず口にしているのが私たちにとっての『おだし』という存在です。
ただ、その『ダシ』とはどんなものなのか?何をもって『だし』と認められるのか?と聞かれた時にバッチリ答えられるかというと、それはちょっと難しいかもしれませんね。
ではだしの定義とは何なのでしょうか?
今回はダシとは何なのか、そしてダシがいつ生まれたのかについてご紹介していきたいと思います!

だし=煮出し汁のこと!

極々簡単に言うと、『食材のうま味を煮出した汁』をダシと言います。
辞書を参考にしてみると…

煮出汁(にだしじる)のこと。料理にうまみを添えるものを水に溶出させたもの。
植物性では精進出汁といい,コンブ,干しシイタケ,かんぴょうなどから,動物性ではかつお節,さば節,干し魚介,鳥がらなどから出汁をとる。日本料理では,かつお節とコンブの併用を重んじ,煮立たせずにとった一番出汁は最も上等で吸物とし,煮立たせてとる二番出汁は煮物,みそ汁など用途が広い。惣菜(そうざい)用には一般に小イワシの煮干出汁が用いられる。

かつお節などの削り節や昆布・煮干しなどを煮出した汁。汁物・煮物などの味をよくするために用いる。煮出し汁。だし。

こんな感じで、食材を煮出してうま味がたっぷりと溶け出したものをダシとしています。
だからダシは漢字で出汁と書くんですね。
さらに日本のだしとしては昆布、しいたけ、カツオ、煮干し、サバ…といった食材を用いるのがやはり一般的です。主に海の恵みを生かしたものだと言えます。
うま味が溶け出した汁がダシだと考えていくと、日本で馴染みのある昆布だしや鰹だしではなくても、野菜のうま味が詰まった野菜のだし、鶏のうま味が詰まった鶏のだしなど『だし』の種類は非常に様々になります。

世界の『おだし』ってどんなもの?

日本では植物性(海藻やキノコ)のだし、動物性(魚や鶏など)のだしが一般的ですが、海外の『お出汁事情』はどんな感じなのか、ちょっとのぞいてみたいと思います!

中国:排骨湯(パイグータン)
日本でいう豚骨スープで、骨つき肉を炊いて煮出すことでとる濃厚な動物性のだし

中国:上湯(シャンタン)
丸鶏や豚肉にと生姜やネギを加えて煮出した中華だし
澄んでいるのが特徴

フランス:ブイヨン
肉類や魚介類と香味野菜、香草などの素材からつくっただしで、スープのベースに使われる
→フォン:ブイヨンがスープベースに使われるのに対して、フォンはソースのベースに使われる

日本では魚介類を多く用いているのに対して、海外諸国では鶏や野菜を使ったダシが多くみられます。お国柄というか、その土地土地で何をダシにするかが変わるのが非常にわかりやすいです。
それでも食材をじっくりと炊いてうま味をしっかりとスープに溶かし出す。そしてそれを生かして料理を作るというのは世界各国共通の文化・知恵なんですね!

だしはいつ、どこで生まれたの?

世界中にダシがあることがわかったところで、これらのダシはいつ・どこで生まれたのでしょうか?
正直諸説ありなのですが、まずダシをとる為には火が必要なので人間が火を使い始めた後に誕生したことは間違いありません。
そして素材を煮出す必要があるので、人間が土器を使うようになった後ということになります。
この時点で数万年昔になりますね…。
一説としていわれているのは、約1万5000年前のアジア地域で最初にダシが作られたという説です。
非常に単純に説明すると
食べられなかったものを煮て、その煮汁を飲んでみたらすっごく美味しかった!
というお話です。笑
そもそも人間は最初火を使わずに食べ物を食べていたので、火を使って「焼く」ようになり、土器を投入して「煮る」ようになり、調理方法も進化させながら美味しいものを食べるようになってきたんですね。
そうしているうちに、ある意味副産物である煮出し汁・スープが美味しいことにも気づいて『だし』が誕生したというわけです。

世界各国の文化が生んだ『だし』

アジア地域では堅い木の実やえぐみの強い植物などを食べる為にまずは「煮る」ことを始めたようですが、その後肉や魚も同じ鍋に投入して煮ることで今のだしにつながってきています。
これは世界各国、各地域、民族によって様々なので世界には日本とは違う『おだし』が生まれることになりました。
日本は島国で海が非常に身近ですし、海産物に恵まれた土地なのでかつお節や昆布からとる美しいダシがメジャーになったのかもしれませんね。
変わって内陸やヨーロッパ方面に行けば魚ではなく野菜と動物性の肉が出汁のメイン食材になっています。
それぞれの文化とそれぞれの「煮出し汁」がその土地の料理の味のベースになって今日も美味しいお料理をいただくことができています!