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日本が誇るダシと、美味しいダシの歴史!


世界に誇る日本のダシ!

今『日本のだし』が世界中から注目されています。
2013年12月に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、その和食の基本である『だし』は世界に知られるようになりました。丁寧に取られただしが素材の味を引き立て、「うま味」を引き出すのが和食の特徴。出汁なくしては、和食を語ることはできません!
ではこの世界に誇る『日本のおだし』はいつごろ生まれたのでしょうか?
ここでは日本の美しいお出汁について、お話ししたいと思います!

日本のダシが生まれるまで

日本のだしの歴史については各時代で文献に残されています。
年代ごとにさかのぼって出汁の歴史を見てみましょう!

だしの代表的な素材である『昆布』と『かつお』の歴史はとても古く、なんと700年ごろ(奈良-飛鳥時代)にはその名前が文献に登場しています。1,000年以上前ですね!
文献を見ると当時からどちらもかなり重宝されていたことがわかります。ただこちらの文献の中にはまだ「だし」という言葉はなく、「だし」という意味の言葉が文献に登場するのは、まだまだ先なんです。
出汁の記載が見られる料理書が登場するのは江戸時代初期のあたりで、料理書には出汁について書かれています。
この料理書には調理方法をはじめ魚や鶏の取扱い方法、飲食の作法などについても紹介されているのですが、その中で調理する際にかつお節を使った「だし」についてや出汁をとる時にだし袋を使っていたと書いてあるんです。
江戸中期には昆布と鰹節との「合わせ出汁」が文献に登場します。
この頃には昆布のうま味とかつお節のうま味、2つを合わせることでさらに出汁のうまみが増すということが人々に知られていたんですね。

この頃江戸では蕎麦が広まり、関西ではうどんが広まったことから、さらにダシの利用が定着していったようです。
ですがま昆布や鰹はまだまだ高級品だったので、庶民には手が届かない存在。今でも昆布やかつお節に高級なものはありますが、この頃は今よりもずっとずっと高級品として扱われていたんですね。
実際に一般庶民に出汁が普及していったのは明治ごろで、明治時代の料理書の中には一番だしと二番だしの取り方が紹介されています。

なぜダシは日本の食文化に不可欠になったのか?

出汁が日本の食文化に欠かせない存在というのは皆さんが感じるところだと思いますが、なぜそんなに大切な、必要不可欠なものになったのでしょうか?
その理由のひとつに日本特有の食に対する考え方があったと思われます。
日本では江戸時代初期ごろまで、家畜を食べる習慣がほとんどありませんでした。これは日本に仏教の肉食禁止の考え方が広まっていた事や、肉食禁止令が度々発令されていたことが原因にあると考えられます。なので、明治天皇が肉食を解禁するまでは肉食禁止は国策だったというわけです。
ただ禁止令が出ている中でも庶民を中心になんだかんだで食肉を食べていたんですが、やはりそれでも他の国々に比べて極端に肉を食べない民族であったことは間違いありません。
その結果、日本人の主要食材は米を中心とした穀物と魚介類、野菜となったというわけです。
ですが、これらの穀物・野菜といった菜食!という感じの食材は肉のうま味に比べるとどうしても劣ってしまいます。そこでこのうま味を補うために発展したのが「だし」だったんです。
日本人の食に対する熱意はハンパないですね!
宿坊などで食べられる精進料理は神社仏閣の厳しい教えにならって作られたお料理ですが、近年宿坊に泊まってこの御膳をいただくというツアーなどもありますよね。この非常にシンプルな精進料理が美味しく感じられるのも、日本人の食材に対するリスペクトがあるからかもしれません。

乾物が生み出す極上の出汁

世界を見てみると素材自体が強い旨味を持つ料理が多く、肉料理には肉からとったダシを、魚料理には魚からとったダシを使って調理するというように、同じ素材からとったダシを使うことがほとんどです。
そういったお料理に使われるダシは動物系の肉や骨を何時間もかけて煮出して旨味を積み上げて作っています。
一方で日本ではかつお節や昆布など乾燥加工された素材を使って短時間でダシを取っています。短時間でダシをとる…というと手抜き?なんて気がする方もいるかもしれませんが、それは違います!
このダシをとるかつお節などの原料の生産には非常に時間と手間がかかるんです。
かつお節で半年、昆布で2年以上かけるものもあります。その乾物として完成されたうま味の塊から出汁を取り出し、食材と組み合わせることで美味しい料理ができあがるということなんです。
スープが主食となる海外に対して、お吸い物なども含め徹底して脇役に徹して素材の味を引き出すのが日本の“おだし”で、これはまさに世界に誇れる日本独自の食文化が生み出した宝だと思います!

世界に羽ばたく和食とダシ

寿司やラーメンとはまた違って世界中で注目されている和食とダシ。
かつお節に興味を持って仕入れるフランスのシェフや視察に来る海外からの食品関係者も増えています。
手間ヒマをかけてつくられた節や煮干し、昆布などからつくられるダシは日本の料理全般に使われています。実はラーメンにも確実に使われているんです。
長い歴史の中で品質と味を保ち続けてきたダシなので、お店の味をアップするため、おいしさを際立たせるためにぜひ使ってください!