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地域ごとで全く違う!?日本各地の出汁文化!

みなさん関西だしと関東だしという言葉は聞いたことがあると思いますが、具体的にどのように違うか知っていますか?
和食の基本であるダシですが、それが関西と関東で大きく違うのは何故なんでしょうか?関東と関西だけでなく、実は日本全国でダシには特徴があって地域性が強いんです!
今回はなかなか奥深いダシの地域性についてご紹介していきます!


『おつゆ』と『おだし』の違いとは?

関東ではだしのことを「つゆ」や「おつゆ」と呼ぶことがあります。
関西では「だし」か「おだし」ですね。これは方言とかではなく、言葉の意味している内容やニュアンスが異なっているんです。
ざっくりと違いをあげると、関東の「おつゆ」というのは、だしをとったものに醤油などで『味付け』をしたものを指しています。一方で関西の「おだし」というのは、だしをとったものに醤油やお塩で『風味付け』をしたもののことを指しているんです。
ニュアンスの違い程度に感じられるかもしれませんが、これが関東ダシと関西ダシの味や色味に関係しています。

色の違いは醤油の違い!

関東と関西のだしの違いとして、まずその見た目に違いを感じる人が多いのではないでしょうか。関東の方が濃い色で、関西はそれよりも色が薄く透き通っています。
では何故色がこんなにも違うのか?それは使っている醤油が違うからなんです!
関東だしはいわゆる濃口醤油、そして関西だしは薄口醤油を使っています。名前の通り濃口は色が濃く、薄口は色が薄いです。また濃口醤油はどっしりとした味わいで、煮物から焼き物までしっかりと味付けしてくれるのが特徴。なのでだし合わせると醤油の味が強く出ます。
一方薄口醤油は香りを抑え、あっさりとした味わいが特徴的な醤油です。なので薄口醤油を使う関西だしは醤油を味付けではなくて風味付けという位置づけで使っているんです。
これが関西と関東のダシの色味が違う大きな理由となります。

そもそも使う素材が違う!

2つのダシの違いは使っている醤油だけでなく、そもそもダシをとる素材にも違いがあります。
関東は主にかつお節でだしをとりますが、関西は昆布をベースにして昆布とかつお節の合わせだしが使われていることが多いんです!
素材が違えば当然味も色味も変わってきますよね。両者のダシに違いがあるのは当然といえます。
では何故ダシに使われる素材に違いがあるのでしょうか?これにはちゃんとワケがあり、2つの違う特徴を持つダシが広がることになりました。
それでは関西だしと関東だし、それぞれの歴史を見ていきましょう!

関西だしは公家文化かあら生まれた昆布ベース

関西だしの原点は江戸時代にさかのぼり、京都の公家文化にあると言われています。公家=朝廷に仕える貴族や上級官人のこと。京都には今でいう天皇家が長く存在していましたから、一時期は大きな力を持っていて富裕層が集まる場所でもありました。
江戸時代に武士社会が進むにつれ公家は次第に勢力が弱り特別裕福な立場ではなくなりましたが、それでも地元の産物をわずかな調味料を使って豪華に美味しく食べることを探求し、食器にもこだわって薄味で素材の旨さを引き出す料理を作り出します。これが「京料理」の誕生です。そしてこの時の素材の旨さを引き出す技術の要が昆布だしをベースとした「だし」だったわけです!
関西の食文化はこの京料理の影響を大きく受けました。特に昆布とかつお節の「合わせだし」の発祥の地と言われる大阪は天下の台所と呼ばれ、比較的裕福な商人の町であったこともあり、だしのうま味を活かした薄味の文化が根付いたようです。

関東だしは町民文化と運搬技術をまかなう工夫

関西だしに比べて塩辛い関東だし。そんな関東だしがうまれたのには様々な理由があったと考えられています。
江戸時代、当時の運搬技術では昆布の名産地である北海道から太平洋経由で関東へ昆布を運搬することは困難でした。しかも関東の水はどちらかといえば「硬水」のため、関西の軟水と比べると昆布でだしが上手く取れないという地域条件があったんです。そういったことが重なってしまい、結局昆布だしの文化は関東には根付きませんでした。
さらに江戸幕府のもとで栄えた江戸の町には肉体労働者の男性が多く集まっており、汗をかく仕事のため塩分を必要としていたんですね。そもそも当時の江戸庶民の生活は決して裕福ではなかったのですが、将軍のお膝元ということでお米には困りませんでした。なので大量のご飯を少ないおかずで食べていたので、おのずと副食の味付けは濃いものが好まれ、だしも濃口醤油を使った塩辛い関東だしが生まれたのです。
そうして関西のように昆布とかつお節からとる「合わせだし」ではなく、かつお節などの節を厚削りにして長時間煮出した濃厚な“おだし”を取るようになり、濃いダシに負けずに合う濃口醤油が発展していきました。関東に有名な醤油メーカーが多いのはこのためとも言われています。

全国各地!地域によって違うだし文化!

関東だしと関西だしのほかにも、日本国内では地域によって馴染みのあるだしの種類は違ってきます。それは獲れる食材の違いなどに関わってくるのですが、ダシ文化の違いを掘り下げていきたいと思います。
まずはそれぞれの地域でよく使われているだしについて見てみましょう!

■北海道・・・かつお節、昆布など
■東北地方・・・煮干し中心、さば節など
■関東・甲信越地方・・・かつお節(カビ付き)、さば節など
■中部地方・・・さば節、むろあじ節など
■関西地方・・・昆布、かつお節、さば節、煮干しなど
■中国・四国地方・・・煮干し、焼きアゴ、かつお節など
■九州地方・・・煮干し、焼きアゴなど
■沖縄県・・・かつお節中心

地域によってかなりバラバラなのがわかりますね!

沖縄は超かつお節文化の地域!

沖縄は実はかつお節消費量が全国1位で、煮干しの消費量は最下位というかつお節文化の地域です。
これはかつお節を中国に輸出するための中継港であったことと、太平洋戦争のときに水産業を積極的に行っていたことが理由ではないかと考えられています。
沖縄の他にも昔からかつお節の産地である高知県、鹿児島県、静岡県には、やはりかつお節文化が強く根付いています。
水揚げされる魚の種類によってダシの文化はかなり影響を受けているんですね。

昆布は京都から全国に広がった

昆布は室町時代に北海道から越福井県船で運ばれ、京都の方まで送られるようになっていました。そして精進料理が発達していた京都を中心に昆布を使う文化が根付いたんです。
さらにその昆布の運搬船が寄港する日本海沿岸の港町にも昆布でだしを取る文化が根付くことになりました。
その後江戸時代になると山口県の下関から瀬戸内海を通る航路で『天下の台所』として栄えた大阪まで昆布は運ばれるようになったので昆布の文化が広がり始めます。
そうして江戸・九州・沖縄にもそれぞれの地域で独自の昆布食文化が生まれていきました。
ただし!関東は質の良い昆布がなかなか運ばれなかったため、昆布でだしをとる機会が少なかったようです。

九州・四国地方は煮干し文化!

九州や四国の漁場では黒潮に乗ってイワシがたくさん獲れたのが煮干し文化が広がるきっかけだと考えられています。かつお節や昆布が高級品だった江戸時代にその代用品として手に入りやすい煮干しが使われ、その文化が根付いたようです。
九州ではトビウオを使ったアゴだしの文化もあります。近年注目されて有名になっていますよね!上品でうま味や風味の良いアゴだしは、今や多くのラーメン屋さんでも使われています。節というよりも煮干しの文化が強いのが九州・四国地方のダシ文化です。

特色豊かなダシ文化を味わおう!

それぞれの地域のだしは、その地域性と歴史が深く影響して生まれています。各地の料理に特徴があるのはそういった文化が関わっているからです。旅行で普段訪れない地域に行った際には、ぜひだしの違いも味わってみてください。なかなか面白いと思います!